総務省は10日,「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会」の第三回会合を開催して「中間とりまとめ」の素案をまとめた。迷惑メール問題が未解決の現状を踏まえ,現行の規制法「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特定電子メール法)を強化する方向で見直すべきと提言している。

 素案はまず,規制対象の拡大を提案。今はSMTP(simple mail transfer protocol)を使わない理由で規制できないショート・メッセージを加え,個人のアドレスあてに限定している対象を事業用のアドレスにも拡大することが盛り込まれている。

 メールの内容としては,現在は広告・宣伝で送られるものが対象だが,その範囲も拡大して見直すべきとした。その一例が,受信者が返信してきたら広告宣伝メールを出す意図でまずいったん送ってみる“間違いや友人を装った内容のメール”である。

 違反者への取り締まりも強化する。現在は法に違反した送信者に対し,まず総務大臣が措置命令を出し,それにも違反した場合に刑事罰の対象となる。これに対し今回の素案では,直接刑事罰を科すことも検討すべきとしている。

 電気通信事業者が役務の提供を拒めるケースを整理することも必要と提言。現在,役務を拒める正当な理由として示されているのは「一時に多数のメールを架空アドレスあてに送信し,それによって電気通信設備の機能に著しい障害が起きて役務の提供に著しい支障が起こる可能性がある場合」だけ。それ以外のケースは個別判断になる。

 総務省では,11月中旬から約1カ月間意見募集(パブリック・コメント)を実施する。12月下旬には,中間とりまとめを決定して公表する予定だ。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション