総務省は11月4日,「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」の第2回会合を開催した。今回は,携帯電話事業の新規参入や周波数の割り当て方針などについて,既存の携帯電話事業者や新規参入を目指す事業者が意見陳述を行った。陳述者には,NTTドコモ,KDDI,ソフトバンクBB,イー・アクセスのトップなどが勢ぞろいした(写真)。意見陳述はほかに,ボーダフォン,アイピーモバイル,平成電電も実施。各社15分ずつ,割り当て方針に対する主張を展開した。

 「今後の携帯電話市場には競争促進が必要」という点では各社の考えが共通した。新規参入を目指すソフトバンクやイー・アクセスだけでなく,既存の携帯電話事業者からも「当初は新規参入事業者だった我々の成り立ちからしても,新規参入は促進すべき」(KDDIの小野寺正社長)との意見が出た。ただし,「サービスを安定的に継続することが前提。事業の継続が困難になった場合も,利用者に迷惑をかけないようにする対策を担保すべき」(小野寺社長)との注文が付いた。

 一方で,周波数帯の割り当てには各社の事情が色濃く反映された。イー・アクセスやアイピーモバイルは「既存事業者は既に割り当てられている周波数で十分。今回の割り当ては新規事業者にのみ割り当てるべき」と主張。周波数の割り当てを巡って総務省に対し行政訴訟を提起したソフトバンクBBは「割り当ての対象とするのは1.7GHz帯だけでなく,800MHz帯も含めるよう方針を見直すべき」(孫正義社長)と,従来の主張を繰り返した。

 逆にNTTドコモ,ボーダフォンの両社は,周波数帯のひっ迫状況を説明。「安定的に既存サービスを提供するため,需要増に応じた周波数帯が割り当てられるべき」(NTTドコモの中村維夫社長),「新規事業者の議論の前に,既存事業者の周波数需要に対応してほしい」(ボーダフォンの五十嵐善夫・常務執行役経営企画本部長)と訴えた。

 11月8日に開催予定の第3回の検討会では,今回,意見陳述した各社が一同に会して意見交換を行う。新規参入を目指すソフトバンク,イーアクセスと既存の携帯電話事業者の激しい論戦が予想される。

 総務省は,2003年10月に公表した「周波数の再編方針」に基づき,新規事業者への割り当て用に複数の周波数帯域を検討中。そのための参考意見を収集する目的で大学教授や消費者団体などの有識者による検討会を開催している。