NEC,富士通,沖電気工業は10月28日,2005年3月期の中間決算(4~9月)を発表した。NECは売上高は2兆3031億円と前年同期比で0.9%の増加,営業利益は同2.2%増の593億円となった。富士通は売上高2兆2200億円と前年同期で3.6%の増加,営業利益は333億円(前期は180億円の赤字)だった。沖電気工業は売上高が前年比13.6%増の3297億円,営業利益が15億円(前期は39億円の赤字)だった(各社とも連結)。富士通と沖電気は前年の赤字から黒字化したが,NECは携帯電話端末の不振がたたり,売上,利益とも横ばいだった。

 NECの通信関連事業である「ネットワークソリューション事業」の売上高は前年同期比5.5%増の8998億円,営業利益は同27.2%減の182億だった。パケット定額制の導入による携帯電話事業者向けのインフラ関連や一般企業向けネットワーク関連は好調だったものの,携帯電話端末事業の不振が大きく足を引っ張った。

 携帯端末事業が低迷した原因について,海外向け3G端末事業の赤字と,国内市場の縮小とシェアの減少を挙げた。海外市場での赤字は,NEC製の3Gプラットフォーム(チップセットとOSなどのソフトウエア)の安定化が遅れ,多額の販売対策費がかかったことが原因とした。国内市場については,「NTTドコモとボーダフォン向け端末では,それぞれシェアの1/3を占めていた。それが今期は20%ダウンした」(中村勉取締役常務=写真)。今後は,無線LAN搭載の携帯電話端末の投入など携帯電話事業の復活に力を注ぐ。

 富士通では,売上高1030億円で前年同期比27.3%増のモバイル・IPネットワークなどが好調だった。第3世代携帯電話用基地局などの順調な販売が寄与した。一方,伝送システム,パソコン/携帯電話端末,ソフトウエア・サービスは売上高がそれぞれ811億円,3260億円,9165億円で,前年同期比の0.6%増,1.2%増,0.8%増にとどまった。

 携帯電話端末の事業は高機能化に伴ないコストアップしたことと売上げが低迷したことによって収益が大幅に悪化した。携帯電話端末の出荷台数は2004年度上半期が153万台で前年同期の178万台を下回った。富士通の小倉正道専務は携帯電話端末販売の不振を「PDCの販売台数低下をFOMAでカバーできなかった」と説明した。通期での販売台数の予想も323万台で,前年同期の337万台の実績を下回る。

 沖電気工業では,通信事業者の投資増を背景に2005年3月期通期で売上1300億円,営業利益75億円を見込む。売上の内訳は通信事業者向けが1000億円,一般企業向けが300億円。特に,通信事業者向けでは,NTT東西地域会社の地域IP網の拡充計画が前倒しになったことで,GE-PON機器などの導入が本格化すると予想している。また,一般企業向けでもIP電話関連が順調に推移すると見ている。

 沖電気の半導体事業も中国市場向けのPHSベースバンド・チップの売り上げが堅調と予測。「中国の第3世代携帯電話サービス開始の遅れが,PHSにとっては追い風になる」(篠塚勝正社長)。

(武部 健一,白井 良=日経コミュニケーション