KDDIは10月28日,2005年3月期の中間決算を発表した。営業収益は前年同期比で6.1%増の1兆4713億円,経常利益は同5.4%増の1563億円となった。ただし,利用率が低い海底ケーブルなどを一部を特別損失として計上したため,純利益は前年同期比で9.3%減の778億円となった。

 事業別では,携帯電話の「au」事業が好調で増収増益。営業収益は全体の7割を占める1兆53億円,経常利益は全体の9割を占める1413億円に達した。一方,固定電話やブロードバンドなどの「BBC&ソリューション」事業は減収減益となった。営業収益は,前年同期から255億円の減収で2499億円に,経常利益は81億円減益の22億円となった。電話収入の減収とADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスの販売経費が増えたことが原因である。

 KDDIの小野寺正社長は,「auが着実に成長しているのに対し,固定系サービスは厳しい。ただし,移動体と固定の両方を提供しているのが我々の強み。将来の融合サービスに向けて,固定系も力を入れていく」と説明した(写真)。固定系では,2005年2月に開始する新固定電話サービスの「メタルプラス」に注力する考えだ。「2005年度の下期以降は,販促活動の中心をADSLからメタルプラスに移行させる」と表明した。

 さらにKDDIは,年内にも戸建て向けのFTTH(fiber to the home)サービスを開始することを明らかにした。ソフトバンクBBなどが採用している新技術「GE-PON」(gigabit Ethernet-passive optical network)を採用する。「マンション向けの光プラスを始めたときから,戸建て向けは考えていた。テレビ,電話,インターネットの3点セットを提供する。ソフトバンクとの競争力は十分にあると思う」(小野寺社長)と意気込んでいる。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション

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