10月23日午後6時前に新潟県中越地方で発生した地震によって,県内自治体の情報インフラが寸断されている。

 新潟県内の情報インフラ整備を担当する総合政策部情報政策課の上松敏之参事によると,「地震の発生直後から職員が次々と登庁。各自治体の情報インフラの確認作業を実施した」という(写真)。確認作業は火曜日に完了した。その結果,個人情報を交換する住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)と,自治体間で行政文書や電子メールをやり取りするための総合行政ネットワーク(LGWAN)が一部の自治体で使えない状態となっていることが判明した。

 住基ネットは,小千谷市,川口町,小国町,山古志村の4市町村で停止中。山古志村は,ほぼ全住民が避難するほどエリア全体が大きな被害を受けているため。川口町は庁舎が停電していることが理由だ。また小千谷市と小国町は,システム自体は稼働可能だが,行政サービスを提供できる状況ではないため,庁舎内のサーバーを自主的に停止しているという。

 一方,都道府県や市町村など自治体間で,行政文書や電子メールをやり取りするための通信網であるLGWANは,小千谷市や十日町市,川口町など9市町村で停止している。「停電かどうかなど詳しい原因は現時点では不明」(上松参事)。

 また,新潟県が2002年に構築した「にいがた情報ハイウェイ」には,大きな問題は出ていないという。幹線は2ルートを確保しているが,両ルートとも断線などの被害は出ていない。新潟情報ハイウェイとは,県庁を基点として長岡や上越など17の県の主要拠点を結ぶ光ファイバ通信網。主要拠点からは,さらに学校や病院など約400の施設がつながっている。

 上松参事は「細かい問題の把握はこれから」として気を引き締める。新潟県のホームページでの災害情報の提供のため,「地震発生直後から職員が徹夜で待機している」(上松参事)という。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション