10月23日午後6時前に新潟県中越地方で発生した地震による通信インフラの障害は,発生から丸2日経過した現在でも復旧に至っていない。固定電話,携帯電話とも依然として不通の地域が残っている。

 固定電話のサービスは,新潟県の山古志村と小国町,越路町のそれぞれ一部で不通となっている。回線数は合計で約4000。これらの地域に設置した回線収容装置と長岡市の交換設備の間の回線が,切断したのがその理由である。ただ,電話回線を収容している収容局ビルはすべて無傷で,震源に近いNTT東日本の小千谷ビルでも周囲に段差ができた程度だという。

 復旧のメドは現時点でも立っていない。これらの現地に向かう道路が寸断されていて二次災害の恐れもあり,切断個所の特定と補修作業に着手できないからだ。これらの地域にはNTT東日本がチャーターしたヘリコプターなどで,携帯型の衛星電話を合計で37台運んで配備した。これは特設公衆電話として無料で開放されている。

 一方,携帯電話は小千谷市や長岡市など被災地とその付近では,ほとんど利用できない状態が続いている。基地局の停電と基地局への通信回線の断線が主な理由だ。各社とも基地局に電源車を出すことで対応を進めているが,依然としてNTTドコモが29,KDDIが9,ボーダフォンが10のそれぞれの基地局で利用できない状態となっている。ただしボーダフォンだけは長岡市では利用できる状態だという。

 ちなみに,現地へは全日空の羽田発・新潟行きの臨時航空便で移動した。日本航空も臨時便を設定しているが,両社とも飛行機は満席でキャンセル待ちの状態(写真)。ただ離陸した機内には多少の空席があった。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション