茨城県つくば市で開催中のNTTグループの次世代アクセス回線技術の展示会「つくばフォーラム2004」で10月22日,「多様な要望に応える光アクセス網高度化技術の動向」と題したワークショップが開催された。今後の研究開発の方向性をテーマに,NTTアクセスサービスシステム研究所の灰原正・アクセスメディアプロジェクト担当部長が講演した(写真)。

 灰原担当部長は,熟れたバナナの画像をモニターに映し出し,「アクセス技術はバナナのように熟れやすく,研究開発のタイミングとスピードが欠かせない」と熱弁を奮った。さらに「NTTグループは全国に光ファイバを張り巡らし,光網の全国展開という点では世界でも有数の成果を上げたと自負している。今後は次なるステップへ進む」(灰原担当部長)と述べた上で,今後の研究開発の方向性を説明した。

 FTTH(fiber to the home)サービスは,急速に加入者数を伸ばしているものの,地域別の加入者数の分布には大きな偏りがある状態だ。普及が進んでいるのは,東京都とその周辺,近畿の各府県に限られる。FTTHサービスを全国に展開していくためには,(1)光ファイバのメンテナンスまで含めたコスト削減技術,(2)誰もが扱える光ファイバなどの開発,(3)過疎地など条件の厳しいエリアでもサービス提供を可能にする技術--の開発が必要だとした。

 具体的には,曲げ損失のない空孔アシスト型光ファイバの開発や,光ファイバの敷設が困難なエリア向けにFWA(fixed wireless access)を組み合わせたサービス提供方法などを開発中とした。

 つくばフォーラム2004は,茨城県つくば市にあるNTTアクセスサービスシステム研究所で22日まで開催している。参加できるのはNTTグループもしくは取引先の社員のみである。

(山根 小雪=日経コミュニケーション