総務省の諮問機関である情報通信審議会は10月19日,電気通信事業部会を開催し,麻生太郎総務大臣に来年度以降の電話制度について答申した(写真)。

 この中で電話の加入時に支払う7万5600円の施設設置負担金について,「東西NTTの料金戦略として,廃止が容認されるべき」との答申がなされた。

 負担金の議論が終結したのは1週間前の12日。「加入者回線の新規投資が減少し維持や更新投資が大半となっていることから,前払いの負担金で資金を調達する意味が低下した」,「負担金が新規の加入を妨げているのでは」,「諸外国においては月々の料金で回収している」との理由から,接続委員会・基本料等委員会合同会合で廃止を容認する答申案がまとめられた。

 東西NTTは「審議会による最終答申を踏まえて決定・公表する」という考え。そのため,20日以降の早い段階で施設設置負担金の段階的な廃止について言及する見通しだ。早ければ2005年4月から,5年間などの期間を区切って廃止していくものと見られる。施設設置負担金が廃止となれば,これに連動して市中でやり取りされている電話加入権の価値が急落するのは必至だ。

 このほか情報通信審議会は,(1)2005年度以降の接続料算出方法,(2)通信量に依存しない加入者回線費用であるNTS(non-traffic sensitive)コストの基本料金への付け替え,についても答申。NTSコストについては5年間かけて,基本料金に付け替えすることとした。今後,総務省は答申に基づいて,関係法令の改訂などの事務作業に取りかかる。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション