プロ野球球団の福岡ダイエーホークスの買収に名乗りを上げたソフトバンクは10月18日,東京都内でも記者会見を開いた(写真)。同社の孫正義社長は「プロ野球はブロードバンド事業の重要なコンテンツになる」と語り,本業の通信事業の強化につながることを強調した。

 孫社長は「我々はブロードバンドの回線接続だけではなく,その上で何を流すのかも考えている。その点,プロ野球はわくわくできるコンテンツ。本業そのものの強化になる」と買収への強い意欲を示した。さらに,「ブロードバンドの力を使えば,パソコンにハイビジョン並みの画質で野球中継を提供できる。テレビでは放映されない試合も,いつでも楽しめるようにしたい」と語った。

 ソフトバンクは現在,新たな通信サービスを相次いで投入している。子会社のソフトバンクBBはFTTH(fiber to the home)サービスを10月4日から開始。固定通信事業者の日本テレコムも12月1日から固定電話サービス「おとくライン」を始める。さらには,携帯電話事業への参入も表明しており,サービス・ラインアップを急拡大させている。

 球団の買収資金について孫社長は,「6月末時点で,現預金と有価証券で約5000億円,保有株式の資産価値は約1兆6000億円ある」と説明。相次ぐ新サービスの投資への影響がないことを強調した。さらに,「球団買収を通してブランドが浸透すれば,これまで新規顧客獲得にかけてきたコストを削減できる。トータルで考えれば,むしろプラスになる」と自信を見せた。

 ダイエーホークスの親会社であるダイエーは10月13日,産業再生機構に支援要請したため,球団を売却する可能性が出てきた。だが再生機構側は今後選定する支援企業の意向を尊重する姿勢を示しており,ソフトバンクの買収が実現するかは支援企業との交渉次第となる。