イー・アクセスは10月14日,1.7GHz帯を利用した第3世代(3G)携帯電話サービスへの参入を正式に表明した。同日会見を開いた千本倖生・社長兼CEO(最高経営責任者)は「本日,総務省に対して参加の意向を書面で提出した」と報告した(写真)。同社は現在2GHz帯での3Gサービス参入も計画中だが,両方のサービス提供を目指して準備を進めていく。

 総務省は今後新規事業者に割り当てる周波数として,複数の周波数帯域を検討している。これらの周波数帯のうち,1.7GHz帯は2006年3月までに帯域幅30MHzを確保する予定である。千本社長は「新規事業者への開放は大歓迎。8兆円市場への参入チャンスがあるなら,是非チャレンジしたい」と参入の理由を語った。1.7GHz帯の通信方式はNTTドコモやボーダフォンのW-CDMA(wideband-code division multiple access)またはKDDIのCDMA2000となるため,「いずれかの方式での参入になると思う」(種野晴夫・最高執行責任者)とした。

 イー・アクセスが参入準備を進めているもう一つの通信方式「TD-SCDMA(MC)」(time division-synchronous code division multiple access multi career)の進捗状況も報告した。具体的には,フィールド実験でのスループットや端末のハンドオーバー状況を公開。「実用化に向けて順調にテストを進めている」(諸橋知雄・新規事業企画本部長)と説明した。同方式は,NTTドコモやKDDIなどとは異なる方式であり,2.010G~2.025GHz帯を利用する。総務省は現在,実用化に向けた検討作業を進めている。

 今後イー・アクセスは二つの方式を同時並行で準備を進めていく。「モバイル・ブロードバンドに最適な方法を幅広く検討していく」(千本社長)と両にらみで事業展開を狙う方針である。

 また会見で千本社長は,前日に総務省に行政訴訟を起こしたソフトバンクBBについても触れた。「現在,寡占状態にある携帯電話市場に新規参入が必要という考え自体は賛同する」としたうえで,「あのやり方が正しいとは思わない。訴訟ですべてを解決できるというのは違うのではないか」とコメント。以前,イー・アクセス自身がソフトバンクに幹部を訴えられた経験も交えながら,不快感を表した。