ソフトバンクBB(SBB)は10月13日,携帯電話事業での参入を目指している800MHz帯の周波数割り当て方針案を不服として,総務省を相手取り,割り当て実施の差し止めを求める行政訴訟を起こした。同日,孫正義ソフトバンク社長は会見し,東京地方裁判所に割り当て行為の停止と仮処分命令の申し立てが受理されたと報告した(写真)。

 SBBの主張は,総務省が策定した周波数割り当て方針案に違法行為があったというもの。具体的には,「総務省の一部の役人の裁量で周波数の割り当てが決められている」(孫正義社長)。これが,電波法の定める「適正な審査を経た上で免許を付与しなければならない」行為に背いていると訴えた。

 その上で,総務省には新たな割り当て方針案を策定し,新規免許申請の受付実施を求める。

 さらに,孫社長は既に800MHz帯で割り当てを受けているNTTドコモ,KDDIと総務省との特別なつながりについても言及。「NTTドコモとKDDIは,総務省からの天下りを受け入れており,こうした点が割り当てに有利に働いたと考えざるを得ない」とまで言い放った。総務省と既存事業者が“密室”で交渉し,新規事業者を排除した可能性があるとして,800MHz帯の割り当てに関する総務省とNTTドコモ間,総務省とKDDI間の交渉記録の処分禁止も求めた。

 総務省は,800MHz帯を要求するSBBの主張について「筋違い」と反論している。「800MHz帯の再編は追加割り当てではなく,今後新規事業者に割り当てる周波数を確保するための“引越し”作業に過ぎない」(総務省)。このため,「当面は新たに使用できる周波数帯はない」(同)と説明する。

 だが,孫社長は「実際には800MHz帯はまだまだ携帯電話に利用できる周波数帯はある。現在の無線技術を持ってすれば,十分に我々が参入する余地はある。総務省の主張は100%ウソだと証明できる」と一蹴した。

 申し立てを受理した東京地裁は,数日のうちにSBB側から事情を聞き,総務省に対して何らかの処分を下す予定。「今後のスケジュールについては何ともいえないが,数週間のうちに今後の方針が見えてくるだろう」(SBBの担当弁護士である牧野二郎氏)。