NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は10月12日,米国の非営利団体「Internet Systems Consortium」(ISC)の運用する「F」ルートDNS(domain name system)サーバーを大阪に設置し,共同で運用を開始したと発表した。インターネットの根幹とも言えるルートDNSの一つを日本国内で運用することで,世界的なインターネット基盤の信頼性向上に貢献する。

 ルートDNSは,ツリー構造であるDNSの仕組みの中で,最上位に位置するDNSサーバー。実際に運用されているルートDNSは世界中で13台あり,それぞれA~Mの名称が付いている。そのうちのFルートDNSはISCが運用している。

 ISCは現在,世界レベルでFルートDNSの分散運用を進めている。狙いは信頼性の向上にある。2002年10月には13台のルートDNSすべてがDDoS(distributed denial of service)攻撃を受ける事態が発生。その影響で9台のルートDNSの処理能力が落ち,インターネットが局地的にマヒする事件が起きた。こうした事態を受け,ISCをはじめルートDNSを運用する組織は,信頼性向上を急務としている。NTTコムもこうしたISCの意向を受け,日本での共同運用を引き受けた。

 NTTコムが大阪で運用を始めたのは,国内のインターネット・トラフィックの東京への一極集中を回避する狙いもある。日本ではWIDEプロジェクトが東京で「M」ルートDNSサーバーを運用している事情などもあり,「大阪にルートDNSサーバーを設置することでトラフィックの分散を図りたい」(NTTコミュニケーションズ)としている。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション