NTTドコモの中村維夫社長は9月30日の社長会見で,携帯電話の月間純増数について「9月はauに負けたと思う」と苦い顔で予測した(写真)。携帯電話の月間純増数をめぐっては毎月,auとドコモが首位を争っている状態。

 「ドコモの解約率はauより低いが,累積の契約者数が多いので解約の絶対数は大きくなる。新規契約者数も市場全体で縮小している。こうした状況では,月間純増数でauに勝つのも,勝ち続けるのも非常に難しい」(中村社長)。正式な9月末時点の事業者別の累積契約数と純増数は10月7日に電気通信事業者協会から発表されるが,発表前に負けを予測するのは異例。

 中村社長は,非接触型ICカード技術「FeliCa」を今後,FOMAの標準搭載にする計画にも触れた。「現在のFeliCa携帯電話は40万台だが,ドコモは年間2700万台の端末を出荷している。ほとんどのFOMAがFeliCa端末になる日は時間の問題」との見通しを示した。

 また,ドコモがプリペイド携帯電話のサービスについて,廃止を含めて検討していることも表明。「携帯電話の匿名性が悪用されて犯罪に多く使われており,携帯電話の社会的責任について痛切に感じている。プリペイド携帯は社会的に有用ではない」との考えを示した。

 ドコモのプリペイド携帯電話は購入時の本人確認を通常の機器と同様にしているため,契約に手間がかかる。そのため,プリペイドの契約者は現状でも9万ユーザーしかいない。「(ドコモの)プリペイド携帯は毎月利用者数が落ちており,積極的に拡大するつもりもない。廃止も含めて今後の方向性を考える」(中村社長)とした。ただし,廃止時期については明言を避けた。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション