総務省は9月28日,電話接続料に関する委員会に通信事業者を呼んで意見を聞いた。電話網を他社に貸して接続料を受け取る立場のNTT東西地域会社と,接続料を支払う立場の日本テレコムとKDDIが出席。各社とも社長または副社長が登場し,自社の主張を熱く語った(写真)。

 日本テレコムは12月,KDDIは2005年2月に,東西NTTの銅線を借りて提供する固定電話サービスを開始する。日本テレコムやKDDIが基本料を徴収する形態のため,ユーザーが新サービスに移行すれば東西NTTは減収となる。

 東西NTTが提出した試算では,1割のユーザーが移行すると,基本料や通話料の合計でNTT東日本で約800億円,NTT西日本で約900億円の減収になるという。NTT東日本の八木橋五郎副社長は,「1割のユーザーが移行しただけで赤字に転落してしまう。不採算地域での電話サービス提供を我々だけで負うのは困難。ユニバーサル基金の見直しが必要だ」と窮状を訴えた。

 これに対してKDDIの小野寺正社長は,「我々の長距離電話収入は年率10%以上も落ちている。それでも経営を成り立たせているのに,NTTがすぐに基金などで補てんしてくれというのは理解できない。ユニバーサル基金にしても,既にあるものを使わないうちから見直しというのはおかしい」と声を荒らげた。加えて小野寺社長は,「陳腐化しつつある固定電話網を将来どうするか,きちっと考える必要がある。大変な技術力を持つNTTを持ってすれば,世界に先駆けて電話網をIP化できるのではないか」と皮肉った。

 一方東西NTTは,電話網に対する規制緩和も主張した。「他社が交換機を設置して電話サービスを提供し始めれば,我々の電話網は独占ではなくなる」(NTT東日本の有馬彰取締役経営企画部長)と強調。電話網は独占的な設備として,接続料の公表や認可申請などの厳しい規制がかかる「指定電気通信設備」となっている。東西NTTは,この指定電気通信設備を1年以内をめどに見直すように要望した。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション