ADSL(asymmetric digital subscriber line)などの新しい干渉ルール「JJ-100.01 第3版」の制定に向けて,通信事業者や通信機器メーカーの議論が始まった。情報通信技術委員会(TTC)のスペクトル管理サブワーキング・グループ(SWG)が9月17日,16回目の会合を開催した。

 会合では,JJ-100.01 第3版で採用する干渉度合いの計算モデルや,計算に利用する各種パラメータについて議論した。干渉ルールでは,電話線のモデルを基に,ADSL技術などの方式ごとに干渉の度合いを計算する。モデルやパラメータによって利用できる技術に差が出るため,各社の意見がなかなかまとまらない。11月末までに第3版を作成する予定だが,道は険しいようだ。

 例えば,ADSLの一つの搬送波で運ぶビット数については,8ビット,14ビット,15ビットという意見が出た。今回の会合では,「8ビットに固執する根拠はない」という点で合意しただけで,ビット数を決めるまでには至らなかった。

 さらに,他の回線に干渉を及ぼす技術の中に,ISDNを入れるかどうかでも意見が割れた。ISDN回線は他の回線に大きな干渉を及ぼすため,これまではISDNよりも干渉が小さければ,ある程度干渉が大きい新技術でもサービスに利用できた。ところがISDNを干渉源から外すと,これらの技術は利用できなくなる恐れがある。

 アッカ・ネットワークスは,「第3版ではISDNを干渉源から外すべき」と主張。ソフトバンクBBも,「既存の技術はこれまで決めたルールでよいが,新技術の導入時にはISDNを除いた新ルールで判定すべきだ」と主張した。一方NTTは,「実際の環境ではISDNがあって,他の回線に影響を与える。どういう方式を規制すべきかを先に議論すべきだ」と反対した。

 結局,ISDNに関する意見はまとまらず,後日通信事業者だけで別途議論することになった。10月8日に開催する次回会合までに,ISDNに関する意見を集約する計画である。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション