総務省の諮問機関である情報通信審議会は9月15日,NTT東西地域会社の加入電話の基本料金の在り方などを検討する「基本料等委員会」の第9回会合を開催した。会合では,審議会が7月に公表した「平成17年度以降の接続料算定の在り方について」に対して寄せられた,百数十件の意見を検討した。

 意見のうち過半を占めたのは,電話サービスの加入時に必要な施設設置負担金に関するもの。審議会の答申案が「廃止も含め東西NTTが自社の戦略に基づいて判断すべき」との立場を示したことに対し,電話加入権を売買する電話取引業者などから反発が上がったためだ。

 委員会で特に議論になったのは,1社時代の旧NTTが1994年以前に作成した販売用の資料について。資料ではNTT自身が施設設置負担金を資産になるとうたっていた。このため,「こうした資料を使って販売しながら,今になって施設設置負担金を廃止して資産価値を奪うのは許せない」という意見が寄せられた。

 これに対し,委員からは「本来は電話加入権と施設設置負担金は分けて考えるものだとしても,こうしたパンフレットでユーザーの誤解を招いたのは間違いない。設置負担金の扱いを変えたければ東西NTTはきちんと説明すべき」(全国消費者団体連合会の山崎若水事務局次長)といった意見が相次いだ。ただし,審議会の答申案を逆転させるべきといった意見はなかった。

 基本料等委員会は今回寄せられた意見を踏まえ,次回の会合で答申の見直しを検討する。会合の開催日は未定である。

(島津 忠承=日経コミュニケーション