ソフトバンクBB(SBB)は7月,サポート・センターの顧客満足度調査を開始した。ユーザーからアンケートを実施し,オペレータの対応向上に即座に役立てる。同システム導入の狙いについて,ソフトバンクBBの三木雄信サービス・プロセス・マネジメント本部長(写真)が語る。

--今回導入した理由を教えてほしい
 ADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスの加入者が7月末で1232万に達し,xDSL市場もそろそろ成熟期に入ってきた。他社との料金やサービスも,かつてほどの違いはない。そうなると,差異化として重要になるのはサービスのサポートだ。ここで差を付ければ,まだまだ加入者は増やせる。そのためには顧客窓口の強化が大事だ。

 正直,当初の従来のサポートはあまり支持を得られなかった。この点を改善するため,2003年9月から顧客満足度を調査し始めた。2カ月に1回,その調査結果から,顧客窓口であるオペレータのサポート改善につなげるヒントを見つけようと考えた。

 ところが,当初はなかなか顧客満足に結び付けられなかった。理由は,SBBでサービスが次々と登場し,サポート・センターがその対応に追い付かなかったのと,調査対象となるサンプル数が足りなかったこと。この結果,調査結果をオペレータ改善に生かせなかった。

 そこで,今回はこうした反省を踏まえて,顧客満足度の向上をより視覚化できるようにした。

--具体的には何を改善したのか
 電話で問い合わせてきた人に対して,毎日満足度を聞くことにした。電子メールで,単純に「サポートに満足したか」を評価してもらう。一日に約3万件の問い合わせがあるが,約2000件の回答を毎日得ている。これを統計処理し,「満足度」として数値化する。アンケートには自由記入欄も設け,顧客からの要望もすべて目を通す。資料は役員会議にも提出し,サービスの改善につなげる。

 7月に始めたが,満足度は日々上がっている。例えば,「オペレータの声が小さい」という苦情が寄せられたが,オペレータが使っているヘッドセットに原因があった。複数のオペレータがマイクを使い回していたため,一部のオペレータがマイクに口をあまり近付けなかったのだ。

 ささいなことだが,こうした細かい点を改善することが,顧客満足度の向上につながっていると考えている。

--SBBは顧客情報漏えい事件でユーザーの信頼を失っている。サポートとしてどう回復に努めていくのか。

 顧客情報漏えい事件に関しては,全面的に反省している。発覚当初は,顧客から多くのお叱りの声を受けた。我々から見れば顧客は400万以上もいるが,顧客からみれば関係は1対1。このことを改めて意識し,信頼の回復に全力で努めている。

 二度と同じ過ちを繰り返さぬよう,顧客サポート・センターのセキュリティも,情報セキュリティ臨時対策費として用意した約30億円を使って全面的に改善した。一つひとつの顧客対応の積み重ねで,信用を取り戻していきたい。

(聞き手は蛯谷 敏=日経コミュニケーション