UHF(ultra high frequency)帯を利用する無線IC(RFID:radio frequency identification)タグの周波数割り当てと技術仕様を決定する「UHF帯電子タグシステム作業班」の第1回会合が8月5日に開催された。

 今回の会合では,UHF帯無線ICタグの標準化動向や世界各国での電波法の規定内容の説明のほか,UHF帯無線ICタグを推進する日本自動認識システム協会が電波暗室での実験結果を報告。さらには,NTTドコモがUHF帯無線ICタグと携帯電話システムとの共用方法に関する発表をした。

 UHF帯無線ICタグへの割り当てを検討している950~956MHz帯の両側の周波数帯はNTTドコモの携帯電話システムが利用中。このため携帯電話とUHF帯無線ICタグの干渉問題が浮上している。今回の作業班では,双方が問題なく利用するための技術条件を決めていくわけだが,焦点となるのが割り当てられた周波数帯域外にもれ出す電波「スプリアス」である。

 今回,NTTドコモが提示したスプリアスの条件は,雑音レベル以下の「-84.8dBm」。これは,UHF帯無線ICタグを推進する側の要求条件「-36dBm」よりも圧倒的に厳しい数値だ。-36dBmは,携帯電話事業者間のスプリアス規制値の-26dBmに自主規制分を加えたもの。だが,携帯電話事業者は既にもっと厳しい自主規制を実施しているという。「規定通りの水準でUHF帯無線ICタグを利用されると,通話断などの問題が発生してしまう」(NTTドコモ)。

 議論の参加したある研究者は,「中立的な視点で見ても,携帯電話が利用する周波数帯のど真ん中でUHF帯無線ICタグを使う以上,携帯電話のルールに従うのは当然のこと」と説明する。次回会合以降,NTTドコモとUHF帯無線ICタグの落としどころを巡って激しい議論が展開されそうだ。

(山根 小雪=日経コミュニケーション


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