CATV事業者のジュピターテレコム(J-COM)は8月5日,既存の同軸ケーブルを利用して100Mビット/秒以上の伝送が可能な通信技術の検討を始めたと発表した。今年中に伝送実験を開始する。住友電気工業と東芝の合弁会社,ブロードネットマックスとの共同実験となる。

 J-COMが実験するのは,米エントロピック・コミュニケーションズ社の「C-LINK」という通信技術を採用したモデム。宅内の同軸線(テレビ線)を使った場合で,最大270Mビット/秒の伝送ができるという。日本ではすでに松下電器産業がC-LINKの実験に取り組んでいる。

 実験に使うネットワークの構成は,「従来と大きな違いはない」(J-COM)。ユーザー宅のエリアの近くまでは光ファイバを使って伝送し,その先のユーザー宅まで既存の同軸ケーブルを使う。多くのCATV事業者が採用している,いわゆるHFC(hybrid fiber coax)の構成で実験する見通し。

 なお,実験の目的はあくまでも技術的な検証を進めること。「実サービスに適用するかどうかは現時点で決まっていない」(J-COM)という。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション