KDDIは7月29日,ツーカー・グループ3社を完全子会社化すると発表した。DDIポケットの売却が決着したことで,ツーカー3社の処遇がモバイル事業の課題となっていた。事業環境の変化と顧客ニーズに迅速に対応できる体制を整えておくことを狙い,100%子会社化に踏み切る。ツーカー3社のauへの統合の可能性もある。

 携帯電話市場全体は今後,加入者数の伸びが鈍化すると予想される。しかも,定額制データ通信サービスの開始などで事業者間の競争は,一段と厳しさを増しつつある。ツーカー・グループは,携帯電話事業者4グループのうちただ1社,第3世代携帯電話サービスを提供していない。機能を絞って使いやすさを売りにしているが,契約者数は2001年6月の404万2000加入をピークに減少を続けている状況だ。

 KDDIは6月21日,経営資源の選択と集中を目的に,PHS事業会社であるDDIポケットを買収することで米国の投資会社カーライルと合意している。売却は10月に完了する予定。ツーカー・グループは,KDDIにとって残る懸案事項となっている。事業環境の変化にすばやく対応できるよう,「他の株主におうかがいをたてることなく動ける方法を選んだ」(KDDI)。

 KDDIが所有するツーカー・グループの持ち株比率は,6月末時点でツーカーセルラー東京が61.17%,ツーカーセルラー東海が60.67%,ツーカーホン関西が53.95%を占める。子会社化を進めるには他の株主から株式を買い取る必要がある。KDDIは12月末までに子会社化を完了させたい考えだが,実現方法については今後検討する。このため,子会社化にかかる費用も現時点では未定としている。

 KDDIは同日,第1四半期の決算を発表した。ツーカー・グループは,契約者数の減少から営業収益は前年同期比15.2%減の611億2400万円の減収となった。しかし,営業利益は前年同期比21.1%増の56億9100万円,経常利益は同42.3%増の49億7900万円,最終的なもうけとなる純利益は同38.4%増の34億3000万円と,利益面ではKDDIグループを支えている。KDDIグループ全体では,営業収益が対前年同期比4.4%増の7200億7500万円,純利益は同17.6%増の516億6300万円の増収増益となった。

(加藤 慶信=日経コミュニケーション

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