パワードコムの中根滋社長は7月28日,「再生へのシナリオ」と銘打った戦略発表会を実施(写真)。かねてから公言してきた“売上高1兆円”という大目標へ向けた道筋を披露した。「NTTと戦っても,孫さんが率いる日本テレコムと戦っても差異化できるようにする」(中根社長)。

 中根社長は1時間以上にわたるプレゼンテーションの中で,再生から売上高1兆円達成までの戦略をStep0~3に分けて紹介。Step0が2004年度上期に当たり,施策としては抜本的な財務体質の改善などを上げた。実際に,9月末に東京電力を主な引き受け先として900億円増資する予定。

 Step1は2004年度下期。この時期は,「思いっきり会社の“ぜい肉”をしぼり,効率よく動けるようにする」(中根社長)。管理会計や原価管理を徹底するだけでなく,新規ユーザーの開拓と既存ユーザーのアカウントを同時に強化する営業体制の構築,ネットワーク・コンサルティング・サービスなどを展開する予定。

 Step2は2005年度。法人向けの商品力を強化するだけでなく,トリプル・プレイをキーワードにFTTH(fiber to the home)事業にも注力。また,電力線インターネットやRFID(radio frequency identification)などの新規事業も開拓する方針。この期間中に「売上高を倍増させ,通期の黒字化を達成したい」(中根社長)。

 2006年以降がStep3となる。構想では,この時期に1兆円企業へと飛躍する。M&A(企業の買収や合併)を視野に入れて,一気に売上高の拡大を図る。「業界への影響力を考えると,このくらいの売上高がないと相手にしてもらえない」(中根社長)。同時期にIPO(新規株式公開)も目指す。

 中根社長は携帯電話事業についても言及。「どこかで携帯電話事業に入るが,自分でやるつもりはない。日本には既に,優れた携帯電話会社が2社ある」と,提携を示唆した。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション