アッカ・ネットワークスは7月27日,ADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスを高速化し,年内にも下り(NTT局からユーザー方向)の最大速度を50Mビット/秒に,上りの最大速度を10Mビット/秒に引き上げると発表した。

 新サービスの速度アップは,伝送に使う帯域を移動,拡張することで実現する。既存サービスは上りに26k~138kHzを利用しているが,これを4.0M~5.1MHzに移動。現行の約7倍に拡大することで,上り最大速度を高速化する。また,26kHz~138kHzは下りの伝送にのみ使用することで,下り最大速度を高速化する。新サービスは,NTT局からユーザー宅までの電話線の距離が約2km以内ならば上り速度のみを,約1.4km以内なら下りも高速化できる見込みだ。

 ソフトバンクBBも開始時期こそ明らかにしていないものの,上り10Mビット/秒のサービスを投入する見通し。両社とも米コネクサント・システムズ(旧グローブスパン・ビラータ)のADSLチップを搭載していると見られ,採用する方式は,国内の通信技術を標準化している情報通信技術委員会(TTC)にコネクサント・システムズが提案した新方式「SUQ/SUQ2」の可能性が高い。この方式は7月2日のTTCで認められたばかり。

 また,アッカが現在提供中の「40Mbpsサービス」は下りの最大速度が40Mビット/秒,上りが1Mビット/秒。これを7月30日から,「47Mbpsサービス」に無償でアップデートする。当面は,上り最大速度は1Mビット/秒で提供するが,電話線を貸し出すNTT東西地域会社の接続約款が変更される見込みの8月中旬にも,3Mビット/秒に高速化させる。40Mbpsサービスから,47Mbpsサービスへは,ネットワークからADSLモデムのソフトウエアを自動的にバージョンアップして対応する。

(山根 小雪=日経コミュニケーション