長野県協同電算(JANIS)は7月27日,NTT局からユーザー宅までの下り方向の最大伝送速度が60Mビット/秒のVDSL(very-high-bit-rate digital subscriber line)サービスを開始すると発表した。上りの最大速度は10Mビット/秒。

 「ウルトラ60M」として,有線放送電話で月額4095円,NTT網では月額4200円で提供する。これらには,モデムのレンタル料金やNTT回線の利用料金などがすべて含まれる。有線放送電話では,8月1日に長野県伊那市を皮切りに県内に展開する。総務省の認可後,NTT回線を利用したサービスは9月にも開始する見込み。

 JANISが採用するVDSLモデムは国際電気通信連合(ITU)の「G.993.1」に準拠する。韓国メーカーの製品を採用した。高速化は伝送帯域を広げることで実現している。下りの伝送に138k~3.5MHz,5.2M~8.5MHzの二つの帯域。上りの伝送に26k~138kHz,4M~5.2MHz,8.5M~12MHzの三つの帯域を利用する。

 局からユーザー宅までの距離に応じて,利用する周波数帯域と信号の出力を変えることで伝送を最適化する。具体的には,(1)局から1.5km以内の近距離ではもっとも広い帯域,(2)1.5k~2.5kmの中距離では帯域を狭める,(3)2.5km以上の長距離では8メガのADSL(asymmetric digital subscriber line)と同様の帯域,にそれぞれ切り替わる。

 なお,ウルトラ60Mを導入したが,実際の伝送速度が低かった利用者には下位メニューの料金を適用する。例えば,下り速度が12Mビット/秒だった場合は月額105円を割り引く。また,下り速度が1Mビット/秒の場合は月額1470円を割り引きとなる(NTT回線の場合)。割り引きの判定に使うのは,局とユーザー宅間の物理的な接続速度である「リンク速度」。JANISによると,「接続速度による料金設定は日本初」だという。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション