総務省は7月22日,放送事業者や携帯電話事業者などの無線局の免許人が国に納めている「電波利用料」の見直しに関するパブリック・コメントの募集を開始した。見直し案では,これまで対象外だった無線LANやETC(electronic toll collection),無線ICタグなどの免許が不要な局が,新たな徴収対象として浮上。7月21日には,電子情報技術産業協会(JEITA)が,パブリック・コメントの募集を待たずに反対を表明している。

 現在,電波利用料の徴収対象となっているのは,免許を取得した無線局。例えば,携帯電話事業者や放送事業者,衛星通信事業者などである。携帯電話の場合,1端末当たり1年間で540円を通信事業者が支払っている。2003年度では,8割以上の447億円を携帯電話事業者が負担している。事業者間の不公平を是正するのが,今回の見直しの最大の理由のようだ。

 電波利用料制度は1993年の開始から3年ごとに見直すことになっており,次回は2005年度となる。見直しの議論は,2003年2月から総務省の電波有効利用政策研究会と配下の電波利用料部会で進められてきた。パブリック・コメント期間を経て,9月2日の電波利用料部会に最終案の提示。9月23日の電波有効利用政策研究会で最終報告書の承認をする。

 パブリック・コメントを募集する最終報告書案は,免許不要局から「取る」「取らない」の両論併記となっている。パブリック・コメントの募集から最終案の提示までが約1カ月と,総務省では早期の決着を目指している。

 パブリック・コメントの募集は8月24日に終了する。問い合わせ先は総合通信基盤局電波部電波政策課である。7月30日には,報告書案についての説明会が開催される予定だ。

(山根 小雪=日経コミュニケーション