NTT東西地域会社がフレッツ・ADSLの新メニュー「フレッツ・ADSLモアIII」を8月上旬以降に開始する。これで東西NTT,アッカ・ネットワークス,イー・アクセス,ソフトバンクBBの4社の高速サービスがすべて明らかになった。

 東西NTTのフレッツ・ADSLモアIIIは,従来のモアIIに比べて,下り(NTTの収容局からユーザー宅)方向の最大伝送速度を40Mから47Mビット/秒に高めた。上り最大伝送速度は1Mから5Mビット/秒となり,一気に5倍となる。当初はADSLモデムの交換により上り3メガに高速化し,ファームウエアのアップグレードで上り5メガに対応する。同じ米センティリアム・コミュニケーションズのADSLチップを使っていると見られるイー・アクセスも,下り47メガ/上り5メガで開始。8月のメニュー追加を予定している。

 ソフトバンクBBとアッカ・ネットワークスは上り速度を最大1メガから3メガまで拡大する。それぞれ9月1日と8月上旬の投入を予定している。上りの速度面からすると,東西NTTやイー・アクセスに比べて見劣りする。ただ従来の40メガ・サービスのユーザーも上り3メガを利用できる。ADSLモデムのファームウエアをアップデートするだけでいいからだ。また,ソフトバンクBBは下り最大速度を50メガとして差異化を図った。両社とも米コネクサント・システムズ(旧グローブスパン・ビラータ)のADSLチップを採用している模様。

 ソフトバンクBBは今後,上り10メガのADSLサービスも投入する見通し。国内の通信技術を標準化している情報通信技術委員会(TTC)で7月2日に技術が認められている。ただ現時点では開発段階という。

 各社とも上りの高速化に当たっては伝送帯域の拡大を利用している。下りに関しては,(1)上りと下りで同じ帯域を利用するオーバーラップの適用,(2)伝送時に割り当てるビット数の上乗せ,(3)伝送するフレームの最適化,(4)アマチュア無線と干渉する帯域での伝送の最適化--といった技術をそれぞれ組み合わせることで高速化を図った。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション