携帯電話から110番や119番などへの緊急通報を高度化する技術的要件が固まった。6月24日,総務省の「緊急通報等高度化委員会」で報告された。

 同委員会は,携帯電話から緊急通報機関にかけてきたユーザーの位置を把握するための技術仕様を固めるのが目的。110番では携帯電話からの通報が過半数を超え,居場所の特定ができないケースが増えていたからだ。

 そこで,携帯電話端末にGPS(全地球測位システム)などを搭載。緊急通報時に位置情報を通知するシステムの仕様を昨年12月から議論してきた。そして,(1)測位の精度誤差は15m以内,(2)測位方式はGPSが基本,(3)110番などの発呼,測位し位置情報の通知を完了するまでの時間は15秒以内,(4)音声通話と位置情報通知のネットワークを別々に構築,といったことが決められた。

 また,細かな点では,位置情報を通知するためのプロトコルとしてMLP(mobile location protocol)を使うことが定められた。MLPは携帯電話関連アプリケーションの標準化団体OMA(Open Mobile Alliance)が仕様を策定している。

 今回固まった技術仕様は来週6月30日に開催する「情報通信審議会情報通信技術分科会」に報告。ここで認められれば,警察や消防など緊急通報を受ける関係機関,携帯電話事業者や端末メーカーが実装に向けて本格的に動き出す。2007年4月のシステム稼働が目標だ。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)