総務省は6月23日,NTT東西地域会社が認可を申請している「集合住宅向けIP電話サービス」に対して募集したパブリック・コメントを公開した。KDDIなどの競合事業者や東西NTT自身が意見を提出した。

 KDDIやケーブル・アンド・ワイヤレスIDCは,「公正競争を阻害するため認可すべきではない」との意見を提出した。ケイ・オプティコムも,「(東西NTTは今回の申請で)戸建て向けのIP電話サービスを提供するための既成事実を作ろうとしている」と強く批判。反対姿勢を鮮明に打ち出した。

 一方,フュージョン・コミュニケーションズは,認可された後に問題となりそうな点を指摘するだけにとどめた。日本テレコムやソフトバンクBBも「認可までに慎重な検討が必要」としたものの,明確な反対姿勢は打ち出さなかった。総務省が申請を認可する方針を示したうえで意見を募集したことや,既に東西NTTの「法人向けIP電話サービス」が認可済みであるため,認可は避けられないとの判断が働いたと見られる。

 また,東西NTTは総務省が認可する方針を示したことに「基本的に歓迎する」と表明。認可に伴う処理を速やかに実施してほしいとの意見を提出した。

(島津 忠承=日経コミュニケーション)