ADSL(asymmetric digital subscriber line)回線事業者のアッカ・ネットワークスとイー・アクセスは6月16日,下り最大47Mビット/秒のサービスを投入すると発表した。上りに関しては,アッカは上り最大3Mビット/秒,イー・アクセスは上り最大5Mビット/秒となっている。両社とも今年8月の提供開始を見込んでいる。

 両社は現在,現在上り1メガ,下り40メガのサービスを提供中。今回の速度アップは,伝送に使う帯域の拡張で実現している。

 例えばイー・アクセスは,従来は上りに26k~138kHzの帯域を使っていたが,さらに138k~483kHzまで約350kHz分を拡張する。下りは伝送帯域の下限が138kHzだったものを26kHzまで,およそ100kHz分を拡張する。

 また,イー・アクセスは,信号に搭載する単位時間当たりのビット数を増大させている。これも高速化に寄与する。搭載ビット数は,上りを1ビット増やして16ビット。下りは2ビット増やして18ビットとする。アッカはビット数の上乗せなど,下りの高速化技術に関して公表していない。

 両社とも,サービス開始の8月時点では下り47メガ/上り1メガで提供。その後上りを1メガから3メガや5メガまで拡張する。上りの増速が遅れるのは,国内の通信技術の標準化を行っている情報通信技術委員会(TTC)における技術的な議論が決着していなためだ。増速のために拡張した帯域の信号が,自分自身や他の回線の下り信号に干渉するという問題が指摘されてる。上り3メガや5メガはTTCでの議論が終わった後に提供するという。

 なお,サービスの月額料金や提供日については,アッカやイー・アクセスのADSL回線を使っているインターネット接続事業者が発表する。

 アッカのサービスは既存の40メガ・サービスで使っているADSLモデムのファームウエアをアップグレードすることで利用できる。同社のADSL回線を利用しているNTTコミュニケーションズは同日,既存の40メガと同じ料金で47メガ・サービスを発表した。

 一方のイー・アクセスの場合はADSLモデムの機器交換が必要となる。そのため,既存の40メガとは別のサービスとなる可能性が高い。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)