企業や学校などから寮の管理運用を受託する共立メンテナンスは,自社で管理する全国約300カ所の寮にIPv6対応のIP電話機を約2万台導入することを明らかにした。寮の入居者にIP電話サービスとインターネット接続サービスを併せて3780円で提供する。4月に試験的に1拠点を開通。IPv4からIPv6への切り替えテストなどを実施し問題がないことを確認した。6月中には約23拠点約3000台を開通させる。2004年12月までには約300拠点を開通を完了する予定だ。

 共立メンテナンスが導入したIPv6対応IP電話システムは,フリービットが提供するIPv6対応のIPセントレックス・サービス「FreeBit OfficeOne IPビジネスホン」サービス。ただし,今回はパッケージ・サービスの利用ではなく,インテグレーション・サービスとして導入した。

 フリービットが運用するIPセントレックス・サーバーには,約300カ所の全拠点からBフレッツをアクセス回線にして接続する。各拠点にはイーサネット給電するPoE(power over Ethernet)対応ハブを設置,入居者はLANにIP電話機をつなげるだけで利用できる。加入電話から「0AB~J」番号への着信には各拠点にINS64を用意して対応する。IP電話機には「050」番号を付与し,050からの発着信はIP電話網経由となる。

 IPv6を利用したIP電話システムは導入コストがIPv4に比べて安いのが特徴。IPv4で内線電話網を構築する場合,各端末はローカル・アドレスを利用するためNAT(network address translation)越えなどの設定が拠点ごとに必要となる。各拠点に割り当てるIPアドレスの設計も面倒。これらの煩雑な作業が,導入コストに跳ね返ってしまうからだ。

 電話機をIPv6対応にすることで,フリービット側からは,各拠点にばらばらにある約2万台のIP電話機がフラットなネットワーク上にあるように見える。開通時の作業は,LAN敷設事業者が各拠点に設置したルーターに,IDとパスワードを打ち込むだけ。IP電話機は1台1台をフリービット側から認識できるために,設定はすべてリモートで行える。このため,開通までの時間を既存のIP電話システムの構築に比べて圧倒的に短い時間で済ませられるという。

(山根 小雪=日経コミュニケーション)