KDDIは6月2日,auブランドの携帯電話をオフィスの内線電話機としても使えるようにするサービス「OFFICE WISE」(オフィスワイズ)を11月30日に開始すると発表した。1回線につき月額900円(税込みで945円)の固定料金を支払えば,携帯電話同士の内線通話がかけ放題になる。

 OFFICE WISEは,携帯電話網を利用した内線電話のアウトソーシング・サービス。企業はオフィスの固定電話機をなくし,一般のau携帯電話機を導入するだけで内線電話網を構築できる。

具体的にはまず,KDDIがあらかじめユーザー企業のオフィス内に小型の携帯電話基地局や電話交換機を設置し,au携帯電話機をあらかじめ内線電話の子機として登録しておく。ユーザー企業の社員がこの携帯電話を使ってオフィス内の基地局経由で電話をかけると,KDDIは内線通話と見なし,保留転送や自動着信転送といった内線電話機能を提供する。また,携帯電話機がオフィス外にいる場合に携帯電話網へ転送する付加機能も用意する。

 また,ユーザー企業内に設置する電話交換機には,PBX間接続インタフェースも持つ。企業が既に所有しているPBXとも連携できる。この仕組みを使うと,携帯電話からオフィス内の基地局や交換機を経由して,PBXとつながった固定型電話機とも,内線通話が可能となる。

 ただし同サービスは,au携帯電話を1000回線以上契約する大規模ユーザーが対象となる。ユーザー企業には,携帯電話の契約回線数が1000台の場合で1000~5000万円程度の初期工事費がかかる。そのほか,携帯電話網への転送機能を利用する場合は1回線当たり月額2000円の基本料と,1分30円の従量制料金を適用する。社内のPBXとの連携機能を利用する場合の付加利用料は月額3万円である。

 サービス開始当初の提供エリアは東京のみ。名古屋,大阪にも拡大する計画だが,時期は未定である。

 携帯電話加入数は8200万を超え,事業者がこれまでしのぎを削ってきた個人市場は飽和気味。KDDIは「今後は法人市場でのシェアを拡大が不可欠。OFFICE WISEはその大きな武器」(KDDIの両角寛文常務・モバイルソリューション事業本部長=写真)と,積極的に販売していく方針だ。

(高槻 芳=日経コミュニケーション)