ソフトバンクBBがIP電話に関連する特許を2件出願していたことが,本誌の調査によって分かった。これでソフトバンク・グループによる特許出願は,ソフトバンクによるものが9件,ソフトバンクBBが3件の合計12件になった。

 今回,明らかとなった2件の出願は企業向けのIP電話を対象とした「音声ゲートウェイ装置」(公開番号:特開2004-128891)と「通信サービス提供システム及び通信サービス提供方法」(公開番号:特開2004-128890)である。両方とも1年半前の2002年10月2日に出願している。どちらも,発明者は同社最高技術責任者(CTO)の筒井多圭志氏である。グループで展開するIP電話サービス「BBフォン」での活用を想定したものと見られる。

 「音声ゲートウェイ装置」は,企業向けのIP電話サービスを想定した出願である。社内の電話構内交換機(PBX)とNTTの一般電話回線との間にゲートウエイ機器を設置する。同機器がユーザーが指定した電話番号を見て,IP電話網と一般電話網のどちらとつなぐのかを判断。IP電話網が使えない通話相手などの場合には,一般電話網にう回する。ゲートウエイ機器にアナログの音声をIPのパケットに変換する機能を持たせることで,既存の電話機が使えるとしている。また,IP電話の回線はxDSL(digital subscriber line)のモデムでセンター側とつなぐ。

 もう一つの「通信サービス提供システム及び通信サービス提供方法」は,店舗に置いた無線LAN機器を使ったインターネット接続,いわゆるホットスポットにおけるサービス利用のセキュリティについての技術と運用方法について定めたものだ。

 具体的には,ユーザーがホットスポットを利用するための設定情報を店舗に置いたスクラッチ・カードで配布。携帯電話の電話番号や契約/課金情報と連動させるとしている。ユーザーにとってはたまたま立ち寄ったホットスポットでサービスを安全に利用できる,店舗にとっては不正な利用を防いだり宣伝になるとしている。店舗内でIP電話が利用できるとも触れている。

 なお今回の2件も含め全12件の特許は出願されただけである。いずれも成立はしていない。特許が成立するには,出願を審査するように特許庁へ請求。さらに審査官から「特許査定」を得る必要がある。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)