5月31日15時20分に発生したNTTコミュニケーションズ(NTTコム)の大規模障害は,6月1日午前2時59分に全面的に復旧した。サービスの停止は約12時間に及んだこととなる。

 影響は,東京を中心とする企業向けデータ・サービスで約2万回線,IP電話サービスは全国で約34万番号,インターネット接続サービス(OCN)は関東甲信越を中心に約15万回線,全国約1000拠点の公衆無線LANサービス(HOTSPOT)と広範囲に渡った。

 原因は東京・大手町に設置する変圧分電盤の故障であったことが明らかになった。NTTコムの電源設備は,東京電力からの給電を受電装置で受け,無停電電源装置(UPS),各フロアの分電盤を経由して通信機器類につながっている。今回の障害では,2フロアの分電盤で偶然にも同時に障害が発生した。

 具体的には,変圧分電盤の中のマグネット・コンタクタ(MC)が故障した。マグネット・コンタクタとは電磁接触器とも呼ばれ,機器の電源を投入した際に,定常時よりもはるかに大きな電流が流れる「突入電流」を抑制する。「壊れることの可能性の低い部品が2カ所で故障した。原因などは現在メーカーに問い合わせ中」(NTTコム)という。

(山根 小雪=日経コミュニケーション)