NTT東日本とNTT西日本は5月31日,2004年3月末時点での通信サービスの契約数を発表した。前年度に続いて,ADSL(asymmetric digital subscriber line)普及の影響が色濃く出た結果となった。

 東西NTT合わせた加入電話の契約数は5094万だった。前年度比で22万契約増加した。1997年度に減少に転じて以来,6年連続で減り続けた契約数が上昇に転じたことになる。

 上昇要因は家庭におけるADSLユーザーの増加が考えられる。「事務用」の契約数は2002年度には63万,2003年度には45万と連続して減っているのに対して,「住宅用」は2002年度には減少から増加に転じており61万契約を上乗せした。続く2003年度も68万の増加となり,電話全体として22万増となった。住宅用新規加入者の多くは,ADSLユーザーで,施設設置負担金が不要なライトプランを選択したと見られる。

 一方でISDNの減少傾向に変化はない。INSネット64とINSネット1500を合計した契約数は913万。インターネットの普及で増え続けていた契約数は,2002年度に減少に転じた102万の減となった。2003年度も99万契約減っている。なお,INSネット1500はINSネット64の10契約分として換算している。

 ここにもADSLの影響がみられる。ユーザー側ではISDNからADSLへのサービスの乗り換え。ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)側では,ダイヤルアップ・ユーザーの減少によるアクセス・ポイントの統廃合に伴うリモート・アクセス(RAS)サーバーの撤去などがあるからだ。RASサーバーはINSネット1500を接続している場合が多い。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)