日本テレコムの倉重英樹社長は5月25日,ソフトバンクが同社を買収する交渉を株主である米投資会社リップルウッド・ホールディングスと進めているとの一部報道に対して,本誌にコメントした(写真)。「そういった交渉を(ソフトバンクと株主のリップルウッドが)進めているのは事実。ただし,まだ結論に至っておらず,交渉の内容についても逐次報告を受けているわけでない。『結果が出たら教えてくれ』とだけ伝えてある」。

 続けて倉重社長は,個人的な見解だがと断った上で,「(ソフトバンクと日本テレコムは)おもしろい組み合わせだと思う」と感想を述べた。交渉の当事者は日本テレコムの株主であるリップルウッドであるため,「ソフトバンクの孫社長と私が,直接電話で話すことも,今のところはない」(倉重社長)という。

 倉重社長は2月に就任し,新年度を迎えたばかり。「買収されようがされまいが,日本テレコムの足元をしっかり固めておかないと何をしても不利になる。今は,社員が新しい目標に動き出せるように全精力を注ぎ込むだけだ。こういった交渉は何かの拍子に決裂する可能性もある」と,日本テレコムの骨格作りにまい進する考えを示した。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション)