コア・ルーターのベンダーである米アビーチ・システムズは5月20日,システム・インテグレータのネクストコムと代理店契約を締結,大手通信事業者などへの販売・インテグレーションを目指すと明らかにした。ネクストコムは下位機種の「QSR」(転送能力160G~200Gビット/秒)と中位機種「SSR」(同400Gビット/秒)を中心に,上位機種「TSR」(同800Gビット/秒)も含めた3機種を取り扱う。価格はQSRの場合で7000万円から。

 同社の製品はダウン時間が少ないのが特徴。例えば「TSR」は米AT&TのIPバックボーンで採用されている。ワールドワイド・セールスおよびサービス担当のクリス・ケーネマン上級副社長は,「AT&Tでの稼働率は99.999%を誇る」と説明(写真)。「リアルタイム性を必要とする動画やVoIPは,止まることがない信頼性をルーターに求めるはず」とアピールした。

 この実績を支えるのはNSR(ノン・ストップ・ルーティング)と呼ぶ独自技術。「インタフェース・モジュール」がASIC(特定用途向けIC)や最適な経路情報を登録したフォワーディング・テーブルなどを持っているため,単独でもパケットを送り出せる。そのため,ルーティング処理をする「CPUモジュール」がダウンしても,TCPのセッションが切れないという。

 また,処理能力を上げるため組み合わせる台数が多いほど,コスト・パフォーマンスが上がる。連結用のインタフェース・カードなどが不要であるため,増設のためのコストがあまりかからない。さらに,操作方法や各種モジュールは機種を問わず統一されている。「日本の市場は切り崩すのが大変だが,手ごたえはつかんでいる」(ケーネマン上級副社長)と,2004年中に国内の通信事業者での採用を目標にしている。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション)