総務省は5月17日,加入電話の基本料と施設設置負担金のあり方を見直す「基本料等委員会」の第一回会合を開催した。同委員会は経営,政策,法律,消費者団体,監査法人の識者で構成され,5月から9月にかけて7~8回程度の会合を重ねる予定である。

 総務省は2003年6月から「基本料等に関するスタディグループ」を開催し,同12月に報告書を取りまとめた。このスタディグループの発端は,加入電話のトラフィック減や,基本料が高止まりしていること,本来基本料から捻出する費用を通話料の多くを占める接続料で賄っていることに対するNTT東西以外の通信事業者からの不満などであった。

 報告書ではブロードバンドの普及により東西NTTのコスト構造が変化するのに伴い,基本料の算出方法も変わっていると指摘している。NTT東西が営業費のコスト構造を見直せば,基本料を削減できる可能性にも触れている。併せて,設置負担金については,廃止を含め検討する時期に来ていると結論付けている。

 基本料等委員会は,この報告書の指摘を調査・検討して総務大臣への答申としてまとめるため,総務大臣の諮問機関である情報通信審議会が4月20日に設置を決めた。委員会では,報告書にある内容の検討に加え,物価が下落している状況下で1995年度以降据え置かれている基本料の水準が適切かも議論する。

 一方の設置負担金は,加入者回線を新規に架設する費用として投資されてきた。しかし既に電話網が全国に整備され,新たに整備するものが減少してもなお金額が適正と言えるかなどを検討課題として挙げた。電話加入権の取引市場関係者などへのヒアリングも予定している。答申は10月になる見込みである。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション)