NTTドコモは5月7日,2003年度(2003年4月~2004年3月)の連結決算を発表した。売上高は5兆円を突破し,営業利益,当期純利益とも過去最高となった。上半期は端末の販売関連費用がかさみ営業利益が減少したが,下期は第3世代携帯電話サービス「FOMA」の好調が利益を押し上げる形となった。

 2003年度の売上高は,対前年度比5.0%増の5兆481億円。営業利益は同4.4%増の1兆1029億円,税引き前利益は同5.6%増の1兆1011億円となった。当期純利益も前年度に株式評価損を計上した関係で前年度に比べて205.9%増え,6500億円となった。

 NTTドコモの立川敬二社長(写真)は,「2003年度はFOMAのステップの年としてがんばってきた。今年度末の契約数が当初目標を大幅に上回ることができた」と語り,「2004年度はFOMAのジャンプの年として年度末1060万契約にしたい」と説明した。

 ただし,同社は2003年11月以降,月間加入者純増数でKDDIに6カ月連続でトップを奪われるなど苦戦中。このため2004年度は競合事業者に対抗するための新料金プランや料金値下げを次々と実施している。具体的には4月から開始した「ファミリー割引」の割引率拡大や,5月に実施したFOMA向け「パケットパック」の値下げ,6月から開始する定額パケット・サービス「パケ・ホーダイ」などである。

 これらの料金値下げのほか,FOMAの加入者拡大のための費用などの影響で,2004年度の連結業績は,売上高が対前年度比2.5%減の4兆9200億円,営業利益が同24.7%減の8300億円と,減収減益を予想している。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)