日興コーディアル証券は4月30日,IP電 話システムを全国の約100拠点に全面導 入することを明らかにした。5月に東京の 拠点から始め,2005年3月には営業店舗 を含めた全拠点への導入を完了する見込 み。IP電話サーバーは米シスコシステムズ の「Cisco CallManager」を採用。IP電話機 は同社の「Cisco IP Phone 7912G」を中心 に導入した。IP電話機の規模は約1万台と なる。オフィスでは専用のIP電話機を使い ,出張者などは拠点外でノート・パソコンの 「SoftPhone」を使えるようにする。システ ム構築はシスコの日本法人とネットマーク スが受注した。

 特徴は当初からIP電話とアプリケーショ ンの連携を前提にシステムを構築すること 。電子メールなどのアプリケーションと連 携させたIP電話を使うことで,「より多くの 顧客とコンタクトできるようになるなど社員 の効率アップを目指す」(日興コーディアル 証券の立原康司システム統括部長)とし, 「通信コストの削減はあくまで二の次。これ を期待して導入したわけではない」(同)と 言い切る。

 目玉となるのはIP電話システムと「プレ ゼンス管理機能」の連動だ。プレゼンス管 理とは,社員の在席/離席/出張中,電話 で通話中といった状況が一覧できるシステ ムのこと。電話をかける相手がどういった 状況にあるのかを確認し,コンタクト手段 を電話や電子メールで使い分けることが 可能となる。これによって,「相手がいない のに電話をかける無駄を省く。受ける側も 他人の電話を取る回数が減りメリットが大 きい」(立原システム統括部長)といった効 果を狙う。プレゼンス管理のシステム自体 は日興コーディアル証券が昨年9月に導 入したものを活用する。

 このほか,IP電話サーバーと連動するシ スコの伝言管理サーバーを導入。電子メ ールのクライアントや外部の電話から伝言 内容を確認できるようにする。また,電子 電話帳の画面上で相手の名前をクリック するだけで電話がかけられる仕組みも入 れる。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)