ADSL(asymmetric digital subscriber line)事業者のイー・アクセスは4月21日,高速無線データ通信サービスの実証実験を5月から始めると発表した。同社は,4月16日に総務省からTD-SCDMA(MC)を実験するための基地局の予備免許を取得。1カ月程度の準備期間を経て,5月にも新たなモバイル・サービスのための実証実験を開始する。今後約1年かけて実験を進める予定である。

 イー・アクセスが実験する無線方式は,「TD-SCDMA(MC)」(time division-synchronous code division multiple access multi career)と呼ぶ方式。米国のベンチャー企業であるNavini Networks(ナビーニ・ネットワークス)が開発した。

 総務省は現在,2010MHz~2025MHz帯を利用する第3世代移動通信(3G)サービスの技術評価を審議する「IMT-2000技術調査方策作業班」の会合を続けている。これまで4回の会合が開かれたが,イー・アクセスは「TD-SCDMA(MC)」方式を提案した。

 実験はまず東京都港区虎ノ門に設置した基地局1カ所から始め,東京都渋谷区と東京都新宿区を加えた計3カ所で実験する予定である。実験に利用する周波数帯は2000MHz~2005MHzの5MHz。当初実験を予定していた2010MHz~2025MHz帯は,NTTコミュニケーションズとアイピーモバイルが「TD-CDMA」と呼ぶ方式で既に実験を始めている。この方式との干渉を避けるため,別の周波数帯を利用して実験することにした。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)