富士通研究所は,相手の居場所に応じて最適な方法でIP電話をかけられるシステムを開発,4月16日に発表した。このシステムは,ユーザーの居場所や状況(「移動中」「会議中」など)といった「プレゼンス」情報を管理する仕組みを社内ネットワークに置いて,IP-PBXと連携させる。そして,取得したプレゼンス情報に応じてIP-PBXから電話をかける先を変える。

 例えば,電話を受けるユーザーが社内にいればIP内線電話,出先の無線LANアクセス・ポイントにいればVPN(仮想閉域網)で接続したPDA(携帯情報端末)にIP内線を,いずれでもなければ携帯電話に電話をつなぐ。電話をかけた方からは,内線,外線,IP電話の違いを意識する必要がない。

 プレゼンスは,RFID(radio frequency identification)タグや,パソコンやPDAのネットワーク接続情報から判別する。プレゼンス情報をやり取りするには,IETFが策定した標準プロトコルであるSIP(session initiation protocol)およびSIMPLE(session initiation protocol for instant message and personal leveraging)を使う。

 ユーザーが社外に移動する場合もあり,このようなケースではプレゼンス情報をファイアウォールの外側から取得する必要もある。そこでファイアウォールの内側と外側にプレゼンス情報を監視・中継するゲートウエイも開発した。

 富士通研は今後,対応する通信手段を増やすなどして,この技術を2004年度中に富士通が販売中のプレゼンス・サービス基盤製品「FLAIRINC」の拡張機能として提供する予定である。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション)