NTTコミュニケーションズ(以下,NTTコム)は,インターネット接続,050番号のIP電話,映像配信の三つのサービスを統合した「NTT Com CoDen 光サービス」を2004年7月1日から提供する。集合住宅(マンション)向け。統合サービスとして,光ファイバを利用するKDDIの「KDDI光プラス」や,ADSLを使うソフトバンク・グループの「Yahoo! BB」のライバルとなる。「先行の2サービスをかなり意識した。結果として当社は放送サービスを捨て,ビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスに注力した」(NTTコム)。

 NTT Com CoDen 光サービスの特徴は,月額2400円の基本料金で200タイトルの映画を何度でも視聴できる「見放題サービス」にある。映像コンテンツはバンダイチャンネルなどの事業者と提携して提供する。総タイトル数として2000以上を用意し,このうち400タイトルをプレミアム作品として,追加料金を支払うことで視聴できるようにした。これに対しKDDI光プラスでは,25チャンネルの多チャンネル放送と3タイトルのVODサービスを月額2400円で視聴できるメニューとなっている。Yahoo! BBの「BBケーブルTV」では,月額2500円で19チャンネルを視聴できるベーシックサービスを提供している。いずれの基本料金にも,テレビ受像機に接続するためのセットトップ・ボックス(STB)のレンタル料金が含まれている(さらに初期費用も別途必要)。

 NTT Com CoDen 光サービスでは,インターネット接続サービスとIP電話サービスがセットで提供される(個別利用はできない)。インターネット接続サービスの構内最大速度は100Mビット/秒。VDSLタイプとイーサネット・タイプがあり,月額料金は4500円と3380円,初期費用として1万3000円と2万円がそれぞれ必要となる(1棟8戸以上の契約をした場合)。IP電話の通話料は,NTTコムおよび提携プロバイダのIP電話サービス契約者同士では無料,それ以外の国内通話料は全国一律3分8円である。 

 このようなインターネット接続,IP電話,映像サービスをセットにしたサービスは「トリプル・プレイ」と呼ばれ,ブロードバンド普及の“決め手”として世界的に注目を集めている。

(加藤 雅浩=日経コミュニケーション)