パワードコムは4月1日,白石智社長が6月に退任し,後継に米i2テクノロジーズ元最高執行責任者(COO)の中根滋氏(写真左)を社長として迎え入れると発表した。6月の定時株主総会で承認を得た後に就任する。中根氏は4月1日付けでパワードコムの顧問となった。

 中根氏は日本IBMを振り出しに,SAPジャパンの社長,プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント(PWC)のマネージングパートナーなどを務めたITサービス業界の超大物。「いままでのプロ人生を賭ける」(中根氏)と意気込む。

 経歴は,日本テレコム新社長の倉重氏と重なる部分が多い。日本IBMでは倉重氏の部下として働き,PWCでは倉重氏とともにマネージングパートナーを務めた。倉重氏とはPWC時代に「日本経済の将来を議論したが,将来はネットワークという結論になった」(中根氏)。

 パワードコムからは一気に電力色が薄れる。この6月で白石社長のほか種市健会長,佐藤紀男専務という東京電力出身者は全員退任。後継の会長職については「中根社長をサポートする人材を選んでいるところ」(白石社長)だと言う。

 電力以外からの人選について白石社長は「外部の方に難しい舵取りをお願いした。電力系に欠けている部分を補ってもらう」と説明する。中根氏は「夏ぐらいまでに具体案をまとめたい」としながらも「固定系は相当ドラスティックな変化が必要」とパワードコムの組織やサービスを大手術する構えだ。

 中根氏は1949年生まれの55歳。71年に日本IBMに入社,流通産業営業本部長,IBMアジア太平洋グループ社長補佐などを歴任。99年にSAPジャパンの社長に転じた。99年にPWC,2001年には米i2テクノロジーズと渡り歩いた。i2テクノロジーズでは日本法人の会長兼社長(CEO),米国本社のCOOを歴任し,3月末までは米国本社のグレーター・アジア・パシフィック地域社長だった。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)