NTTドコモは4月1日,携帯電話の社会的影響などを多角的に分析する専門機関「モバイル社会研究所」を設立した。携帯電話の普及拡大が及ぼす社会的・文化的影響を研究する。成果は,論文発表や出版などを通じて発表していく。

 NTTドコモは新研究所を設立した理由として,「日本での携帯電話の普及はめざましく,その結果生活は便利になった。一方で,携帯電話を利用した『オレオレ詐欺』などの犯罪や迷惑メールなど“負”の影響も顕在化しており,こうした問題も真剣に考える場が必要だと判断した」(NTTドコモの辻村清行取締役経営企画部長)。

 モバイル社会研究所は今後,(1)社会・文化,(2)法律・制度,(3)産業,(4)社会インフラ--の4項目を柱として,テーマの設定を進める。研究所の所長には石井威望東京大学名誉教授が就任。各分野に深い学識のある大学教授8人が理事として加わる。「各研究テーマは1年をめどに成果を発表していく予定」(石井威望所長)。

 NTTドコモは新研究所に社員を派遣せず,資金面でバックアップする。「研究成果は必要に応じてNTTドコモのサービスや事業に取り入れていく」(辻村取締役経営企画部長)方針である。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)