長野県協同電算(JANIS)は4月1日,有線放送電話を利用して下り最大50Mビット/秒,上り最大10Mビット/秒のDSL(digital subscriber line)サービスを開始すると発表した。サービス名は「ウルトラ50」で,利用料金は機器使用料込みで月額4200円(税込み)。4月中に長野市の川中島町有線放送農業協同組合など,20から30の有線放送電話網で開始。有線放送の収容局からおよそ3km以内のユーザーを対象としている。

 ウルトラ50はVDSL(very-high-bit-rate DSL)を採用することで高速化を実現した。138k~3.75MHzまでの帯域を下りに,45k~138kHzと3.75M~5.2MHzを上りに使う。大手のADSL事業者が提供中の下り40メガ超のサービスは,上りの伝送速度が最大1Mビット/秒。ウルトラ50はVDSLを活用し,その10倍の速度を実現した。VDSL機器は,韓国ダサン・ネットワークスから調達した。

 有線放送電話は,地方の農協などが主体となって運営している自営網。NTTの回線とはまったく関係がない。利用する通信技術に対する制限は,事実上ない。JANISが有線放送電話の回線を借り受けて,ADSLやVDSLを使ったインターネット接続サービスを提供している。今後「県内の80程度の有線放送電話にVDSLサービスを展開する」(JANISの佐藤千明ネットワーク部長)。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)