シスコシステムズは3月23日,IP電話サーバー「Cisco CallManager」の新バージョン4.0を発表した。出荷開始は今年の第2四半期。米国では既に1月末から出荷を開始した。Cisco CallManagerはIP電話機や電話回線からの通話呼び出しを管理するサーバー。

 バージョン4.0の特徴は,接続する電話機に対するセキュリティ機能を強化したこと。具体的には,(1)電話機を呼び出す呼制御プロトコルの暗号化,(2)音声を送受信するプロトコルの暗号化,(3)IP電話機を証明書によって認証する接続制限--,が可能となる。ただし現時点で音声の暗号化は同時に発表したIP電話機「Cisco IP Phone 7970G」と組み合わせた時だけ有効となる。

 バージョン4.0のもう一つの目玉は,呼制御プロトコルとしてインターネット標準のSIP(session initiation protocol)を採用したこと。従来から通信回線側はSIPに対応していたが,クライアントであるIP電話機側はシスコ独自のSCCP(skinny client control protocol)と国際標準のH.323を採用していた。これに三つめのプロトコルとしてSIPが加わった。なおSIPを利用するには,シスコの「SIP proxy server」を別途導入する必要がある。

 IP電話サーバー以外にも“IP電話機”を2製品追加する。一つがIP電話機の「Cisco IP Phone 7970G」(写真)。タッチパネル付きのカラー液晶を搭載しており,解像度は320×234ドットである。搭載するブラウザは,HTMLだけでなくHTMLを拡張したXML(extensible markup language)で記述した情報を表示できる。すでに昨年12月から試験的に出荷している。二つめがソフトフォンの「Cisco IP Communicator」。ピックアップや保留といった,ビジネスに必須といえる機能を新たに搭載した。第2四半期に出荷を開始する。

 このほか,IP電話サーバーと連動するビデオ会議システム「Cisco IP/VC 3500シリーズ」を発表した。4月以降出荷を開始する予定。IP電話サーバーのCisco CallManagerを使って,相手を呼び出しビデオ会議ができる。IP電話と同じ電話番号で,ビデオ会議も運用できるのがメリット。利用するには,IP/VC 3500のサーバー「MCU3.2Plus」のほか,シスコのUSBカメラもしくはタンバーグ(ノルウエー)のビデオ会議用のクライアントが必要。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)