総務省は3月12日,NTT東日本とNTT西日本に対して,固定電話から携帯電話へかける通話(いわゆる固定発携帯着)に関する料金設定権を認可した。両社は設定した料金を総務省に届け出たのち,4月(具体的な日程は未定)から適用する。

 これまで固定電話から携帯電話へかけた際の料金設定権は携帯事業者にあった。しかし2004年4月からは,通話先の携帯電話番号の前に事業者識別番号(NTT東日本は0036,西日本は0039)を付けて事業者を選択した場合は,携帯側は自己の役務範囲についてのみ料金を設定できる。この携帯事業者の設定した料金とNTT東西の設定した料金の合計がNTT東西から請求される。これは2004年度だけの暫定措置で,2005年度からは固定側が全区間の料金を設定できる。事業者識別番号を付けなかった場合に携帯側が料金設定権を持つのはこれまで通り。

 固定発携帯着の料金設定はNTT東西の業務範囲外である県間通信の業務に準じる扱いになる。携帯電話のユーザーが移動しながら通話すると,県をまたぐ可能性もあるからだ。そこで,NTT東西は地域IP網の県間接続と同様の「活用業務」として認可を受ける必要がある。NTT東西以外の事業者にはこのような認可は不要。

 総務省は今回の認可に際して,(1)2005年度以降に携帯電話事業者が接続料を設定したら,収支見込みを総務省に報告すること,(2)東西NTT自らが県間伝送路を設置するなどサービス提供の仕組みを変える際は認可申請をすること――の条件を付けた。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション)