総務省は3月12日,通信事業者に対して保有する個人情報の管理を徹底するよう要請した。事実上の行政指導といえるものだが,特定の企業を名指ししたものではない。電気通信事業者協会,テレコムサービス協会と日本インターネットプロバイダー協会の3団体を通じて伝えた。

 要請の中身は(1)個人情報の管理の徹底と不正アクセスを防ぐ仕組みの導入,(2)漏えい時には速やかに報告すること--という極めてシンプルなもの。「ソフトバンクBBやジャパネットたかたの情報漏えい事故を重く見た」(総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課)という。

 もっとも今回の要請には強制力があるわけではない。「きちんと気を引き締めて管理してほしいというお願い」(消費者行政課)との位置付け。なお,個人情報保護法では,監督官庁は漏えいした事業者に報告を求めることができる。ただし報告の義務はない。

 今回の要請は,通信事業者のほか,放送事業者も対象。日本民間放送連盟,日本ケーブルテレビ連盟,日本放送協会などの業界団体に要請が伝えられた。
(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)