総務省は3月10日,「次世代IP網ワーキンググループ」の第3回会合を開催した。この会合では,急増する日本のインターネット・トラフィックに対応できるIPインフラを構築するために,通信事業者やメーカーが集まり現状のインフラの問題点や技術開発が必要な事項の洗い出しをしている。
 
 第3回となる今回の会合では,総務省から中継系光ファイバへの投資規模や利用状況についての報告があった。電気通信設備を設置する電気通信事業者の設備投資は,1996年の2兆4751億円を最高に減少傾向にあり,2003年度は1兆2774億円と1996年の5割程度にまで減少したことが明らかになった。設備投資総額のうち約2割が光ファイバへの投資だが,総務省によれば,ほとんどが加入者系光ファイバ。中継系への投資は概ね完了したことを示唆した。
 
 また,光ファイバを設置している通信事業者へのアンケート結果に基づく中継系光ファイバの利用状況の推移も公開された。2003年の光ファイバの総延長は694万6000km。そのうち63.2%に上る439万3000kmが未利用であった。「特定区間での不足があることは分かっているが,光ファイバの総量は足りている」(総務省)とした。

 そのほか,ネットワーク・トポロジのあり方や,複数の通信事業者に波及する障害が発生した場合の対応策などについて議論した。第4回となる次回の会合では,親組織の「次世代IPインフラ研究会」が報告書を作成する上で必要な情報を整理する。次世代IPインフラ研究会は,日本のインターネット・バックボーンのあり方などについて2004年6月に第1次報告書,2004年末に第2次報告書をまとめる予定だ。

(山根 小雪=日経コミュニケーション)