情報通信技術委員会(TTC)のスペクトル管理サブワーキング・グループ(SWG)は3月4日,新しい干渉ルールの作成に向けて動き出した。スペクトル管理SWGは,通信事業者や通信機器メーカーなどが参加して,ADSL(asymmetric digital subscriber line)の干渉ルールについて議論している。

 スペクトルSWGが協議しているのは,干渉ルール「JJ-100.01」の第3版。2003年11月に第2版を制定したばかりだが,6月10日までに第3版を完成させる計画だ。第3版を急ピッチで作成するのは,上り3メガADSLサービスの開始をこれ以上遅らせないためである。

 上り3メガADSLは,他の回線に干渉する恐れがあるとして,TTCで合意が得られず,サービス開始が遅れている。JJ-100.01の第3版では,上り3メガADSLに対する干渉ルールを決める計画だ。

 3月4日に開催したスペクトル管理SWGでは第3版の策定に向けて,各社から様々な提案が出た。ただ,「干渉計算の基となる電話線のモデルを変更すべき」,「他回線への干渉が大きいISDNの影響は,近距離だけに限定して考えるべき」,「干渉ルールは3.5km以内など近距離だけで運用すべき」--などルール決定の前提条件となるような内容が多い。さらに,「各ADSL事業者がサービス計画に対して色々な思惑を持っており,干渉ルールの議論がまとまらない。サービス計画については別の場で議論すべき」という意見も,イー・アクセスや長野県協同電算から出た。結論がまとまるまでには,長時間の議論が必要になりそうだ。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)