総務省は26日,契約先の携帯電話会社を変更しても元の電話番号を使い続けられる「番号ポータビリティ・サービス」を,2年後をめどに導入する方針を打ち出した。

 総務省主催の「携帯電話の番号ポータビリティの在り方に関する研究会」がこの日,第5回会合の場で報告書案の骨子を公表。明確に「携帯電話の番号ポータビリティを導入することが適当」と結論付けた。これまでボーダフォンを除く携帯電話会社各社は莫大な導入コストが必要として導入に消極的だったが,サービスに対する潜在ニーズの大きさや海外での番号ポータビリティの普及状況をふまえ,受け入れることで合意した。

 報告書案では導入コストの回収方法として,サービス利用者と携帯電話会社で分担するよう提言。実際には,携帯電話会社がまずコストを負担し,サービス利用者から数千円程度の手数料を徴収する形態が有力となっている。

 ただし携帯電話会社側の試算によれば,仮に全携帯電話ユーザーの1割が利用した場合で約1000億円もの設備投資がかかるという。つまり,サービス利用者一人当たり1万円以上のコストがかかる計算だ。

 総務省もこの点を考慮している。報告書案では,サービスを利用しない携帯電話ユーザーにも,携帯電話会社間の競争促進による料金値下げなどのメリットが発生すると指摘。携帯電話会社が全ユーザーから間接的にコストを回収することも認めた。

 一方,携帯電話のメール・アドレスについては,システム開発が難しく電話番号ほどニーズが見込めないことから,当面ポータビリティ・サービスを実施しない方向である。

(高槻 芳=日経コミュニケーション)